健康法をわかりやすく解説 Vol.03

前回の記事

電解水素水はビタミンCの分解を防ぐ

ビタミンCはアスコルビン酸とも呼びますが、ビタミンC粉末を冷暗所で乾燥させておけばまず安定です。しかし、ひとたび水に溶かすと酸化分解を受けて、2〜6時間で50%以下に激減します。

ビタミンCを酸化分解させる原因は水中に溶存した酸素と活性酸素です。活性酸素が電解水素水によって消去されることを本シリーズ解説の第2回で記述しました。

これらの事実から、ビタミンCの酸化分解が電解水素水によって防御できるかが調べられました。この結果、溶存水素の豊富な電解還元水はその水中でビタミンCを顕著に保持することが検証されました。(図8)

図8

この試験方法としてHPLC(高性能液体クロマトグラフィ)& クーロメトリックECD(還元力に対する電気的な高感度検出)法が使用されました。この図でHPLCのピーク面積が大きいほどビタミンC保持量が多いことを意味します。

ビタミンC粉末を各種の水に溶解してから後の時間経過に伴って、ビタミンC残存量が減少しますが、この残存量が数値として示されました。(図9)

図9

この結果によると、27時間後でのビタミンC残存率は、溶存水素の少ない水では当初の2〜3割にも落ち込んでしまうが、水素吸蔵式の整水器で調製した水素水では7割以上をキープしていることがわかります。

スポーツ飲料やビタミン剤の中のビタミンCを保つ電解水素水

過激な運動やトライアスロン競技(水泳・自転車・マラソン)では血液中の活性酸素が激増するという研究結果が判明しています。スポーツ飲料に含まれるビタミンCは、運動に際して人体全身に発生する大量の活性酸素を消去し、組織修復や疲労回復に役立っています。
(三羽 信比古・著「ビタミンCの知られざる働き」丸善 )

スポーツ飲料の粉末を各種の水に溶解し、その後にビタミンCの残存量がどう変化するかが、HPLC / クーロメトリックECD法で調べられました。その結果、水道水(溶存水素濃度0,009ppm、酸化還元電位+126 mV)で飲料粉末を溶かした場合、2時間でビタミンCはほぼ半減するが、電解水素水 (溶存水素濃度>0.6ppm以上、酸化還元電位-437 mV)で溶かした場合は、6時間後でも8割以上のビタミンCが保持されることがわかりました。(図10)

水道水中の殺菌剤である次亜塩素酸(さらし粉)がビタミンCを破壊したと考えられます。一方、アルカリpHの水に飲料粉末を溶かした場合は、ほぼ直後にビタミンCが消失するが、ビタミンCがアルカリにいかに弱いかを示します。

これらの実験結果から、スポーツ飲料の粉末は中性pHの電解水素水で溶解すると好ましいことがわかりました。このメカニズムとして、電子スピン共鳴法の実験結果(本シリーズ第2回解説で記述)の示すように、電解水素水の中の溶存水素がビタミンCを酸化分解する活性酸素を消去するためと考えられます。

このことは、ビタミンCや総合ビタミン剤の錠剤・顆粒剤・粉末についても、中性pHの電解水素水での服用が推奨されます。


図10


果物や野菜のビタミンCを保つ電解水素水

ここまで解説したビタミンCは純水やスポーツ飲料など夾雑物の少ない場合であり、電解水素水による保持効果が検証されました。これに対して、各種の成分が混在する果物や野菜の中のビタミンCについても、電解水素水による保持効果が調べられました。

レモン果汁を圧搾して各種の水で同じ割合に希釈した後、ビタミンC残存量がどう変化するか。これが同じくHPLC / クーロメトリックECD法で分析されました。この結果、希釈した後4〜5時間で、水道水(溶存水素濃度0,006 ppm、酸化還元電位+179 mV)では13%ほどのビタミンCが消失していたが、電解水素水(溶存水素濃度 0.5 ppm以上、酸化還元電位-363 mV)では4〜5%の減少に止まっていました。(図11)

レモン果汁には、抗酸化成分として、ヘスペリジン、リモネン、シトラール、エリオシトリン、リモノイドなどが含まれており、これらがビタミンCの酸化分解を防御していると考えられます。特にヘスペリジンはビタミンPとも呼ばれ、柑橘類にも豊富に含有されていて、血管強化効果があり、ビタミンC減少を防ぐ効果が認められています。
(三羽 信比古・編著 「美肌・皮膚防護とバイオ技術」第9章、CMC 出版)
アセロラは、日照の厳しいカリブ海原産の果物であり、レモンの34倍多量にビタミンCが含まれるが、紫外線傷害から植物体を守るためと考えられ、ヒト皮膚組織でのシミ・シワ防御効果が見い出されています。
(三羽 信比古・著: 第3-3-4章、In:「皮膚の抗老化最前線」第3-3-4章、NTS出版)

これらビタミンCの豊富な果物も、その果汁の水割りが活性酸素に曝されると、ビタミンCが減少します。これを防いで、有効にビタミンCを摂取するためにも中性pHの電解水素水が推奨されます。

図11


ビタミンCを多量含む野菜も、包丁などによる切り口を水道水で洗うのはビタミンCを分解させることになります。調理にも中性pHの電解水素水を用いるのがビタミンC 保持の観点から好ましいと言えます。